2011年07月04日

見事に寄り添うことに成功している

小山実稚恵さん傑作の一つ!
小山実稚恵さんの演奏を最初に観たのは、もしかするとライナーノートに諸井誠さんが最初に観たと語っているテレビ番組と同じかもしれません。ラベルの"水の戯れ"をとても自然に流れるようなタッチで弾いていて、う〜ん凄いなと思ったのを覚えています。彼女の歌い方は、独特で基本的にあたたかく優しい響きがあり、水が流れるように自然な感触で聴いているとなんとも気持ちが良くなります。このアルバムは、ラフマニノフの練習曲、"音の絵"ということで、プレイヤーにもリスナーにも有名なレパートリー。でも、この演奏を聴いても自然発生的なほど滑らかに指が動いていて素晴らしいです。さて、"音の絵"は、Op. 33と39がありますが、39は時代背景的にもよりドラマチックで、悲壮感が全体的に感じられる。個人的にイメージするラフマニノフの心を抉り取られるようなロマンチシズムを39の方により深く感じる訳ですが、彼女の演奏はうまくそこを表現していて、自然な流れの中にも深い感情表現が感じられて聴いた後の満足度がとても高い。最初の頃に比べてこの頃になると表現に広がりがぐっと出て来て、力強く心に響く演奏が全編で聴け感動します。
音楽による絵画表現
 ラフマニノフの練習曲“音の絵”は、技巧的な難しさのみならず、その深い音楽性でピアニストを苦しめる作品であると言われている。音の絵”というタイトルの通り、この作品はある絵画が基本となっているのだが、作曲者はその絵画についてはほとんどを明らかにしないままこの世を去っている。この中で、私は特にOp33−3に注目した。これは、出版直前にラフマニノフ自身がそれを差し止めたままになってしまい、死後にその譜面が見つかったのだが、しかし実はその旋律がピアノ協奏曲第4番の第2楽章の最後に使われていたという、何だか隠された物語のありそうな作品なのである。 さて、彼女のOp33−3だが、冒頭は案外速く、きつめに、そしてどことなく不安を感じさせるように演奏しているという印象を持ったのだが、後半の、後にピアノ協奏曲に使われていた部分、つまり作曲者にとって何か深い意味があったのではないかと思われる部分が実にみずみずしい!木漏れ日を受ける水面には、ゆらめきとともに、いつ、どこで現れるか分からない一瞬のきらめきがあるのだが、ちょうどそれと似た印象を持つ。これほどまでに上質に、強く訴えかける演奏は私は他に知らない。この部分に関しては、恐らく作曲者本人が、心のうちにそっとしまっておきたい思い出があって、それを託したのだろうと私は思っている。もとになった絵画を明らかにしない、そして出版を差し止めるという行為からはそんな印象を得るのだ。そして彼女は、ラフマニノフのそんな気持ちに見事に寄り添うことに成功している、そんな印象を得る演奏なのだ。
ラフマニノフ:「音の絵」作品33 & 39

posted by なつみ at 00:14| 日記 | 更新情報をチェックする
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