2010年11月01日

腐敗打倒にかける情熱

戦前の特務機関に関する調査はすごい
この本の圧巻は「児玉誉士夫とは何か」「CIAと児玉誉士夫」であろう。特に戦前の特務機関の在り様から戦後のGHQとの関わり、そしてCIAとの関係までを明らかにした取材の徹底振りには感心する。特務機関に関わった膨大な人員と予算、ニセ札と阿片を取り扱っての莫大な利益を考えれば、日華事変で陸軍が中国から簡単には手が引けなかった事情も納得がいく。

田中逮捕の後も著者はこの問題を追い続け、「ロッキード裁判傍聴記」「論駁」「田中角栄新金脈研究」「巨悪と言論」へとつながっていく。

日本の闇に迫った歴史的作品
著者が文芸春秋に「田中角栄研究」を発表したことが契機となり、田中角栄は退陣に追い込まれる。田中側は権力を利用し、総理府公報の月刊誌、週刊誌(特に新聞社系)への宣伝費を増やし、著者を追い詰めてゆく。そして「ロッキード事件」が発覚。著者は発表の場を次々と変えながら、金脈とロッキード事件の追求論文を様々なメディアを使って発表する。著者は、週刊ポストや現代のような独立系の週刊誌が誌面を与えてくれたと感謝している。ロッキード事件は、日米おろか世界数十カ国に跨った汚職事件で、田中角栄ばかりかCIA、児玉機関などが登場して日本の深い闇が姿を現す。今に続く日本の政治の姿が国民の前にはじめてあばかれた。この作品は、色々な場所で発表した一連の論文を整理しなおしたものだが、権力に挑む立花隆の執念にただ敬服する。

腐敗打倒にかける情熱
 下巻には、ロッキード事件発覚から、田中が五億円収賄容疑で逮捕されるまでに書かれたレポートが掲載されている。

 逮捕により、田中は政治の表舞台から姿を消すことになる。だが田中は刑事被告人となった後も「闇将軍」として政界に君臨し、自らの意思を実現しようとした。表舞台には大平、鈴木、中曽根ら自分の言いなりになる傀儡を据え、自身は裏舞台からそれを操作する「権力の二重構造」をつくり出すことによって、である。

 1983年10月、田中に有罪判決が下されるに至っても、政治の「金権・腐敗」体質は一向に改善されず、「田中型政治」は、金丸、竹下といった田中の後継者たちによって脈々と受け継がれてゆく。

「田中角栄研究全記録」上下巻に収められるのは、田中退陣のきっかけとなった論文「田中角栄研究」以来2年間にわたって書きつがれたもので、その量は原稿用紙千枚にも及ぶ。

だがそれでは終わらなかった。立花氏の本当の闘いは、田中逮捕の瞬間から始まったのだ。
1993年12月に田中が病死するまで、氏は「田中なるものすべて」を批判し続け、なんと一万枚以上の原稿を20年にわたって書き続けることになるのである。

 政治のあるべき姿を求めつづける立花氏が、腐敗打倒への激しい情熱をたたきつけた一冊である。
 
 
田中角栄研究―全記録

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posted by なつみ at 15:02| 読書 | 更新情報をチェックする
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